2014-10-12
弱者の戦略

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『弱者の戦略』
稲垣栄洋 著
新潮社

小さくて非力な小動物、名もない虫けらたち、逃げも隠れも出来ない植物――そんな生物でも捕食圧力や競合圧力をかわして自己のニッチを確保し、生き延びて子孫を残している。進化の過程で獲得した様々な、そしてみごとな戦略の数々を詳細に解説する一冊。
先日、経営戦略に関する本を読んだが、生物戦略との共通点がけっこうあったのは新鮮な発見だった。しかし考えてみれば、人間という生物が営む経済活動である以上、両者が似ていても不思議はないのだろう。
すべての生き物は獲得したニッチに適応することで生物的最適化(生き伸び、子孫を残す)を図る。だが、獲得した環境だからといってタイトに適応するわけではない。無駄なコストを覚悟で、ある程度の幅を持った適応をする。冗長性がないと不意な環境の変化に対応できず、死滅してしまうからだ。
企業も生物同様、変化に対応すべく、内部に様々な(設備、人材、流通など)冗長性を抱え込んでいた。だが近年、情報や物流のネットワークを発達させ、さらに労働力を市場化することによって、内部に抱え込むべき冗長性をアウトソースする戦略を見出した。新たなシステムにより大幅なコストカットが実現したかに見えた。
だがあまりにも冗長性を排除してしまったために、東日本大震災直後はサプライチェーンが寸断され、日本の「ものづくり」が瀕死の淵に追い詰められたことは記憶に新しい。
我々人間どもは、虫けら様に学ばなければならないことが、まだまだ多そうだ。
オススメ度 ★★★★
ビジネス応用度 ★★★
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